バウハウスビジュアルアートの「表現の基本手段」—— 色が語る感情の構造
バウハウスといえば、幾何学的なフォルム、はっきりとした輪郭、そして原色が思い浮かぶかもしれません。しかし、その背後には、形と色を“感情の言語”として扱う哲学が存在しています。
今回ご紹介するのは、そんなバウハウスの思想を象徴する1枚の図表 — 「ビジュアルアートにおける基本的な表現手段(ELEMENTARY MEANS OF EXPRESSION)」です。
The color chart
この図表が意味するもの
図は縦3列・横2行で構成され、横軸はネガティブ(−)とポジティブ(+)、縦軸は明度(明るい・中間・暗い)を表しています。
明度 | ネガティブ(−) | ポジティブ(+) |
---|---|---|
明るい | 白 | 黄 |
中間 | グレー | 赤・オレンジ |
暗い | 黒 | 青 |
Colors & emotions
色が持つ“感情”
この6色は、単なる色彩ではなく、感情や状態を象徴しています。
- 白(−): 虚無、冷たさ、孤独
- 黄(+): 光、希望、明るさ
- グレー(−): 無気力、退屈、停滞
- 赤オレンジ(+): 活力、温かさ、情熱
- 黒(−): 闇、圧迫、不安
- 青(+): 静けさ、安心、奥行き
左側は内向的、陰的、抑制的な感情を示し、右側は外向的、陽的、能動的な感情を表しています。
Colors in the Bauhaus school
バウハウスが提案した色使い
このような図は、バウハウスの初期教育課程(Vorkurs)で活用されていました。特にヨハネス・イッテンやワシリー・カンディンスキー、パウル・クレーなどの教師が、色彩と感情の関係を学生に体感させるために使っていました。
色はただの装飾ではなく、感情を動かす“道具”であり、それは訓練によって習得できるというのが彼らの信念でした。
Reinterpretation in modern times
現代における再解釈
この図は100年前のものかもしれませんが、今もなお、私たちに「視覚は感情を動かす」という基本を思い出させてくれます。
もし次に黄色や深い青に出会ったら、それがどんな“気持ち”を語りかけているのか、ぜひ感じてみてください。
Design is not just what you see, but what you feel through what you see.
コメント