バウハウスビジュアルアートの「表現の基本手段」—— 色が語る感情の構造

2025年7月23日

バウハウスといえば、幾何学的なフォルム、はっきりとした輪郭、そして原色が思い浮かぶかもしれません。しかし、その背後には、形と色を“感情の言語”として扱う哲学が存在しています。

今回ご紹介するのは、そんなバウハウスの思想を象徴する1枚の図表 — 「ビジュアルアートにおける基本的な表現手段(ELEMENTARY MEANS OF EXPRESSION)」です。

 

The color chart

この図表が意味するもの

図は縦3列・横2行で構成され、横軸はネガティブ(−)とポジティブ(+)、縦軸は明度(明るい・中間・暗い)を表しています。

明度 ネガティブ(−) ポジティブ(+)
明るい
中間 グレー 赤・オレンジ
暗い

Colors & emotions

色が持つ“感情”

この6色は、単なる色彩ではなく、感情や状態を象徴しています。

  • 白(−): 虚無、冷たさ、孤独
  • 黄(+): 光、希望、明るさ
  • グレー(−): 無気力、退屈、停滞
  • 赤オレンジ(+): 活力、温かさ、情熱
  • 黒(−): 闇、圧迫、不安
  • 青(+): 静けさ、安心、奥行き

左側は内向的、陰的、抑制的な感情を示し、右側は外向的、陽的、能動的な感情を表しています。

Johannes Itten のカラーホイール

Colors in the Bauhaus school

バウハウスが提案した色使い

このような図は、バウハウスの初期教育課程(Vorkurs)で活用されていました。特にヨハネス・イッテンワシリー・カンディンスキーパウル・クレーなどの教師が、色彩と感情の関係を学生に体感させるために使っていました。

色はただの装飾ではなく、感情を動かす“道具”であり、それは訓練によって習得できるというのが彼らの信念でした。

バウハウス校舎内の教室風景、学生が色の実験をしている写真

Reinterpretation in modern times

現代における再解釈

この図は100年前のものかもしれませんが、今もなお、私たちに「視覚は感情を動かす」という基本を思い出させてくれます。

もし次に黄色深い青に出会ったら、それがどんな“気持ち”を語りかけているのか、ぜひ感じてみてください。


Design is not just what you see, but what you feel through what you see.


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